自作 乾電池式 MC専用フォノイコライザーアンプ 購入 SPPE-4(MC) ★視聴可★

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自作 乾電池式 MC専用フォノイコライザーアンプ SPPE-4(MC) ★視聴可★

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【概要説明】

本機は自分で使うために設計したものですが、自作品ならではの個性を活かしたフォノイコライザーができましたので、レコードが好きという方にお勧めしたくて出品することにしました。

本機で再生した音をYoutubeにアップしましたので、下記のURLから視聴ができます。

https://www.youtube.com/channel/UCZfgmkyzBoO2vP0uiD82Z1w/videos

音源はmp3に圧縮されていて15KHz以上はカットされていていますので、音質は劣化していますが、それでも音として聞くことができます。是非お試しください。

レコードの音はディジタル音源と比べると、特別に音が優れているとは思えませんが、不思議と何年も前に聞いたものでも改めて聞くと、当時の記憶とともに鮮明に蘇ります。
これは、人間の脳にとって、レコードの音は心地よく感じられ、また聞きたいという願望を自身の記憶の中核に刻んでいるからではないかと思われます。
ディジタル音源に慣れた今日ですが、長い間レコードから離れていた方や、若い世代の方にもレコードを楽しんでもらえれば嬉しいです。

MCカートリッジはMMカートリッジには無い周波数特性の良さが特徴ですので、MCカートリッジらしさを引き出すために、次の3点に徹底的にこだわって設計をしました。

①低雑音

MCカートリッジは発電できる電圧がMMカートリッジの10分の1しかありません。そのため、その不足分をフォノイコライザーアンプで10倍に増幅をする必要があります。
10倍の増幅とは数字にするとたいしたことではないのですが、アンプの入り口で発生する雑音も10倍に増幅されるため、実際にアンプで組んでみると低域のサーという雑音を無くすことは難しいものです。
10倍に増幅する方法として、MCヘッドトランスを使う方法もありますが、トランスは周波数特性が伸びないという特徴がありますので、何とか能動素子を使って低雑音のアンプに仕上げることを目標にしました。
その結果、本機ではヘッドフォンで聞いても、通常の音量位置ではアンプから出る雑音は無音に近い状態にすることができました。

②乾電池駆動

乾電池4個で駆動できる電源構成にして、AC電源コードのわずらわしさと、AC電源から混入するハム雑音を遮断すること。
電池を電源にすると、新品の電池を入れた直後はいいのですが、しばらく使っていると電池の交換時期が気になってきます。
音を聞きながら少し音が歪んできたから電池の交換時期かな?とか、交換して3週間目だからまだ大丈夫かなとか、常に電池交換の時期を気にしなければなりません。
しかし、これではゆっくりレコードを聞くことができませんので、本機では電池電圧を監視する回路を組み込みました。
電池の残量がアンプの動作限界に近づくと、本体の電源LEDが点滅を始めます。点滅が始まったら電池の交換時期ということになります。
実際に使ってみると、この機能はとても便利です。点滅が始まるまでは電池のことは考えなくて良いので、電池式であることの不便さは全く感じません。

③自然な周波数帯域感

NF型のイコライザーは、電圧利得が1倍未満に下がらないので、1KHzを過ぎたあたりから高域方向の電圧レベルが、RIAA偏差のプラス方向にずれていきます。
その結果、音源によっては高域の音にきつさがあり、相対的に低域の量感がもの足りなくなる傾向があります。この傾向の音はヘッドフォンで長時間聞いていると疲れます。
本機もNF型の回路ですが、上記の様な特性にならない回路構成にして、自然な帯域感をめざしました。

上記の3点にこだわり、設計→試作→試聴を繰り返して現在のものに至りました。
音のイメージを文字で表すとすれば、「透明」「クリア」「鮮明」という感じだと思います。イコライザーアンプの存在を感じさせず、カートリッジの音を直接聞いている感覚です。
さらには、レコード盤の状態や音溝に刻まれた録音の状態まで鮮明に聞き取れますので、今まで聞きなれていたレコードも、また違った感覚で楽しめるのではないかと思います。

部品については特別なものは使っておりません。昔だったら町の電子部品屋さんで売っていたような、定番部品で作っております。定番部品とは、広く世界のエンジニアに認められて、長きに渡り作り続けられている部品のことです。特別優秀な特性があるわけではないのに作り続けられている。その訳は、できることとできないことが明確にわかっているからです。性能の卓越した天才的な部品ばかりを集めても、良い音が出るものではありません。平凡な部品でも、できることが出し合える環境が整えば、人の心に染みる音が出せるものだと思います。部品も人と同じです。
本機では、回路と部品については非公開とさせて頂き、さまざまな先入観の無い状態で音を聞いてもらえれば幸いです。


【機材構成について】

写真の写りがあまり良くなくて申し訳ありませんが、黒いケースがアンプ本体で、透明なプラスチックケースは専用の電池ケースです。
本体と電池ケースの間は、付属のφ3.5ステレオミニプラグケーブルでつなぎます。
このケーブルは本来は信号用のケーブルですが、±3Vの電源ケーブルとして使用しています。
φ3.5ステレオジャックは、ヘッドフォンやイヤホンのジャックではありませんのでご注意ください。
ターンテーブルからのRCAケーブルは、本体裏面の「IN」と書かれたジャックにつないでください。
後続のプリアンプやヘッドフォンアンプは「OUT」側につないでください。
電源LEDは黄色です。電流の消費を節約するために、暗めの黄色で光ります。
お送りするものは、本体+電池ケース+φ3.5電池ケーブルです。電池は含まれません。


【開発の背景について】

カートリッジにはDL-103を使用して、試作したものの音を聞きながら設計を進めました。
私はMCもMMも使っていますが、MCはもっぱらDL-103を使用しております。
先日、雑誌の記事で読んだのですが、DL-103は現在では、たった一人の女性の職人さんの手で作り続けられているとのことでした。この方がここ20年間は一人で作り続けているということでした。
昔からある有名なカートリッジなので、ある程度の手作業はあるものの、工場で交代制の工員さんによって量産されているものと想像していましたが、全くの考え違いでした。そして、この女性の職人さんには頭の下がる思いでいっぱいです。
DL-103は多少高価ではあるものの、お金を払えばいつでも手に入るものだと思っておりましたが、この方が作るのをやめていたら、とっくにDL-103はこの世から無くなっていたでしょう。誰かが取って代われるようなものとはとても思えません。
50年以上も前にこのカートリッジを開発されたエンジニアの方々と、今日まで作り続けてこられた職人さんに敬意と感謝を込めて、このイコライザーアンプの設計に取り組みました。
半世紀にも渡るカートリッジに込められた思いを、音にして引き出したいという気持ちです。


【MCカートリッジの特徴について】

MCカートリッジの電気的な特性をDL-103のデータシートと実測値で列記すると下記の様になります。

出力電圧:0.3mV (1KHz)
電気インピーダンス:40Ω (1KHz)
コイルインダクタンス:47uH (実測値)
周波数特性:20Hz~45KHz

MMカートリッジと比べると特徴的なのは、出力電圧がMMカートリッジの約10分の1ということと、コイルのインダクタンスがMMカートリッジより圧倒的に小さいということです。
同時に出品しているMMカートリッジ専用フォノイコライザーで説明を書きました様に、カートリッジとフォノイコライザー間で発生する共振現象も無視できる状態です。
コイルインダクタンス47uHとアンプ入力容量150pFで共振する周波数は約2MHzですので、可聴帯域への影響はありません。

話が逸れますが、MMカートリッジ用のフォノイコライザーの前段に、MCヘッドトランスを入れて昇圧するという方法もありますが、この方法には考慮しておくべき特徴があります。
MCヘッドトランスはコイルであり、特に2次側の巻き線は大きなインダクタンスを持っております。MCカートリッジとフォノイコライザーの間にトランスを入れるということは、アンプ側からカートリッジを見ると、本来はMCカートリッジの小さなインダクタンスだったものが、トランスの大きなインダクタンスに置き換わることになり、MCカートリッジの代わりにMMカートリッジがつながっているのと同じ状態になります。
そのため、低雑音で電圧を昇圧できる代償として、LC共振による周波数特性の劣化を引き起こす可能性があります。MCヘッドトランスを使用する場合には、MCカードリッジの良好な周波数特性が失われ、MMカートリッジと同様にフラットな周波数特性の再生に苦労することを、承知しておく必要があろうかと思います。

本機ではMCカートリッジの良好な周波数特性を活かすために、ヘッドトランスは使わずに、能動素子を使った低雑音で低歪なアンプ構成にしております。


【フォノイコライザーの構成について】

MCカートリッジの出力電圧0.3mVをプリアンプのラインレベルまで上げるには、最低でも500倍の電圧増幅が必要です。これは周波数が1KHzでの倍率ですので、20Hzでは5000倍、20KHzでは50倍の増幅をすることになります。
5倍とか10倍ぐらいなら倍率感がイメージできるのですが、5000倍というのは私にはなかなかイメージできません。そこで、日常の経験で感覚がつかめるものに例えてみました。
1倍を時間にして1日だとすると、5000倍というのは5000日で、13年と8か月に相当します。ある一日が人生の中で及ぼす影響は小さいものです。時には進学、就職、結婚など、人生を大きく変える岐路がある日もありますが、平均してみれば人生の中の一日は小さいものです。
しかし、13年ともなるとそんなのんびりしたことを言っていられません。生まれた子供は中学生になっているし、思春期だった子供は結婚して子供を育てるかもしれません。
電圧増幅の話に戻すと、増幅とは入力に入った信号が電源の電力を得て拡大されて出力されることであり、入力された信号によって瞬時に出力の状態も決定します。時間の例では、ある一日の事象が、瞬時にその後の13年8か月の運命を決定してしまうことに相当します。
5000倍という数字は、字で見るより遥かに重い重責を担っていることが実感できます。

フォノイコラーザーでは、この大きな倍率の増幅を1台のアンプで実現することは難しく、通常では2台のアンプに分けて倍率を分担しています。
1KHz時の500倍を基準にアンプの倍率構成を考えてみると、多くの例では、MCヘッドアンプで10倍に増幅した後に、MMカートリッジ用のフォノイコライザーで50倍にするという構成になります。
これは、MMカートリッジ用のフォノイコライザーが兼用できることに大きなメリットがあります。また、ヘッドアンプの10倍の増幅は、低雑音アンプとしては作りやすいアンプとも言えます。

フォノイコライザーの役割は、信号を増幅することと、RIAA規格に沿った周波数特性の変換をすることにあります。ヘッドアンプの例では、最初のアンプで信号を一律に10倍した後に、後段のアップでRIAA変換と50倍の増幅をしています。
この増幅とRIAA変換の分担方法もさまざまな方式が考えられます。
前段のアンプでRIAA変換をした後に後段のアンプで一律に増幅したり、RIAA変換を2台のアンプに分けてそれぞれで増幅とRIAA変換をしたり、2台のアンプの間にRIAA変換素子を挟んだ受動型にしたりなど、さまざまな形態があります。
2台のアンプの増幅度の配分と、RIAA変換のタイミングついては、フォノイコライザーの諸特性の重点の置き方によって、最適な構成があります。

RIAA変換とは、3個ある時定数で周波数特性を操作するローパスフィルターの働きをします。これを通過することでカートリッジが発電した信号はその姿を変えます。
本機では、カートリッジの個性や設計・製造されたエンジニアの熱意を引き出したいという思いで、信号波形が整形されるRIAA変換は最後の最後に実施する構成にしました。
前段アンプでは周波数特性の操作にはいっさい手を触れず、カートリッジが発電した電圧をそっくりそのまま50倍に増幅しています。微弱なカートリッジの信号に、電源のエネルギーを注入して、カートリッジの生信号の波形を維持したまま、雑音に負けない強靭な信号を作ります。
後段アンプでは、高域でもRIAA偏差が発生しない回路方式で、RIAA変換と10倍の増幅をしています。

低雑音化に対しての処置は、初段を低い信号源抵抗で雑音指数が良好なバイポーラトランジスタで受け、抵抗の熱雑音を抑えるために、入力抵抗と帰還抵抗は抵抗値を極力小さくするという電子回路の定石通りの回路になっております。いくつかの回路定数を試作機で組み、アンプの動作点が安定していて実用上問題ない雑音レベルになる状態を選択しました。

時間を掛けてきわめて真面目に設計した自作ものですので、市販品には無い感性でレコードを楽むことができると思います。興味がある方の検討品のひとつになれば幸いです。


【電気特性】

入力インピーダンス: 100Ω(1KHz)
電圧利得: 54db(1KHz)
定格入力: 0.3mV(1KHz)
定格出力: 150mV
S/N比: 未測定
RIAA偏差: 未測定

【ケースサイズ】

本体:RCAジャックやターミナルを除いたケースサイスは、横幅100mm、奥行き100mm、高さ40mmmです。
電池ケース: 横幅94mm、奥行き64mm、高さ25mm
電源ケーブル: φ3.5mmステレオミニプラグケーブル 長さ50cm

【電池】

単三マンガン電池またはアルカリ電池を4本使用します。
本機は4個の電池を2個ずつに分けて、プラス側3Vとマイナス側3Vの構成で電池を使用しています。
アンプの動作上は、電圧がプラス側とマイナス側で同じ割合で減っていくことが望ましいので、使用する電池は同じ銘柄のものを4本揃えてください。

充電式のニッケル水素電池やNiCd電池も使用できますが、これらの電池は放電終了が近づくと急激に電圧が低下しますので、電池交換のLEDの点滅をする間もなく電池が切れる場合があります。
LEDの点滅機能を当てにしなければ使用できます。

電池の交換は、電源スイッチを切った状態で、電池ケースの上蓋を開けて交換してください。
電池交換の頻度は、アルカリ電池を使用した場合では、毎日LPを2枚ぐらい聞いても、電池は1ヶ月ぐらいは持つと思います。
けっこう長持ちする印象ですので、電池交換が苦になることはありません。むしろ早く電池が切れて次の電池を試してみたいと思うこともあります。
100円ショップの電池でも全く問題なく使えますので、いろいろな電池を試してみるのも楽しいです。


【お願い事項】

ケースの加工は全てを手作業でやっていますので、細かいすり傷がある場合があります。
また、電池ケースは購入時から、金型の環境で製造工程上でキズのようなものがあります。
市販品を利用した自作品であることをご理解いただき、音が出ない不具合以外はご了承願えれば幸いです。


【お
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